山羊のいけにえ

好きな映画を深掘りしたい

<マーシー・ブラック>・・12345・・・

マーシー・ブラック(字幕版)

マーシー・ブラック(2019)

母親の病を治すため森の奥深くで友人を殴打し指を切断した。

生贄を捧げた。

魔物“マーシー・ブラック”を召喚した。

The itsy bitsy spider
crawled up the water spout.
Down came the rain,
and washed the spider out.
Out came the sun, and dried up all the rain,
and the itsy bitsy spider
went up the spout again!

マーシー・ブラック - YouTube

ブラムハウス万歳

未体験ゾーン&ブラムハウスならば間違いなくワクワクがとまらない。

安定ホラーが見たい!外したくない!そうだブラムハウスがあるじゃないか!!というブラムハウスパワー。他には「呪い襲い殺す」「ヴィジット」「インシディアス」「透明人間」などなど傑作が咲き乱れている。控えめに言っても最高だ。

さあ!みんなでブラムハウスを見よう!!

 

幼い心に入り込み支配する魔物

母親の病を治したい優しい心、魔物召喚の儀式は遊びの延長線上を本物にした現実。

今ならバカげていると笑い飛ばすような都市伝説も、時に幼い子供たちには疑いようのない現実となる。魔物は知らぬうちに幼心へと潜り込み、恐怖と好奇心を埋め込み、それらと背中合わせにして心のどこかに穴の空いた子供たちを支配していく。

信じたら“それ”はいるのか?

「・・12345・・・・」消えるのか。

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映画「マーシー・ブラック」公式より

消えていた記憶、蘇る過去

精神病院に入っていたマリーナは退院を告げられ、不安を抱えながら15年ぶりに我が家へ戻ってきた。

姉と甥のブライスと3人で新しい生活がはじまる。だが、姉の彼氏は事件についてズカズカと質問してくる犯罪マニアの最低野郎だ。ただ、マリーナ本人も詳細なことはあまり覚えておらず、事件が記憶から消えかかっている。

なぜ記憶が消えていくのか。精神病院での治療の結果なのか、マーシー・ブラックは妄想だと心がそう決めようとしたからか。

ホラー映画を見て恐怖だと感じる心理、作り物だと笑い飛ばす心理。少なからず“怖い”と思う心には信じる力が宿り、そこには魔物が忍び寄るのかもしれない。

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映画「マーシー・ブラック」公式より

マーシーブラックとは何者か

人間の闇を喰らい、信じる者の憎しみや弱さを実体化する魔物なのか。

彼女の友人には既にマーシー・ブラックがいたのでは?それを呼び出すための儀式だったのか。見える者とそうでないもの、信じる者、向き合う力を持つ者、魔物を受け入れ飲み込まれる者。思えば友人たちは闇や欲望を抱えていた。マーシー・ブラックを神聖化し、身を捧げようとしていた。

悪事の象徴や心の歪みの実体化なのかもしれないが、その真相はよくわからない。

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映画「マーシー・ブラック」公式より

実際の事件をもとに制作されたか

これによく似た事件として、スレンダーマン死傷事件がある。

2014年5月31日。アメリカ合衆国ウィスコンシン州で12歳の少女2人が、森で友人を包丁で19回刺した実際の事件。スレンダーマンというネット上の架空キャラクターから家族を守るためスレンダーマンに忠義を示そうと殺害及んだという。その後、少女たちは長期の精神病棟へ入院していたらしい。

 

最後に・・・

心霊とかファンタジックな悪魔や魔物系のホラー展開を期待すると、若干もやもやが残るかなって思います。

どちらかというと心に潜む魔物。純真な子供が現実ではないものに取り憑かれて事件を起こす。そして尋常ではない殺害方法で犯罪に及んでしまう恐怖、という感じかもしれない。

最後のアレも、魔物を受け入れてしまった子供が歪んだ心に飼う悪夢の様な・・・まあ、いろんな捉え方があると思うが、確実にあの子の将来が不安でならない。

 

総評

★★★☆☆

ブラムハウスは良い

 

 

 

透明人間 (字幕版)

透明人間 (字幕版)

  • エリザベス・モス
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<エウロパ>宇宙は怖い

エウロパ(字幕版)

エウロパ(2012)

未知の領域への到達は人間の希望か欲望か。破滅か。

もう怖い。ただもう本当に怖い。何がそんなに怖いかって宇宙で想像し得る“怖い”がオンパレードすぎるからだ。結論、前人未到の宇宙は怖い。

Europa Report Official Trailer #1 (2013) - Michael Nyqvist Sci-fi Movie HD - YouTube

モキュモキュモキュメンタリー

がっつりモキュメンタリーです。

最初から最後までずっと1カメ!2カメ!3カメ!みたいな視点と、エウロパに人間を送り込んだ側「株式会社エウロパ」な方々のインタビューで構成されている。原題が『Europa  Report』なので私たちは惑星探査のレポートを見ている設定です。

 

未知の惑星、未知の生物、未知の領域

怖いだろうよ。

どういう心持ちでこの大いなる恐怖に立ち向かうべきなのか、私には正解がわからない。まだ人類が到達していない木星の衛星エウロパに行くと言うのは、東京からアメリカへ自家製ヨットで行き、南米大陸へ渡り、一人でアマゾン川をクルーズしつつピラルクーを入れ食いさせる5億倍くらい怖い。いや、それ以上かもしれない。その上、生命体の有無を調査する、どうかしている。怖い。

ドキドキワクワクして恐怖と興奮でアドレナリンが爆発した結果、とんでもないことが起こる。好奇心の塊が過ぎる。

人類の最大の挑戦である地球外生命体の発見。あぁドキドキする・・・怖い。

 

氷の下、水の中

モンスター現る。エウロパなのでもちろん現れる。

だが私には、途中挿入される巨大な球のようなエウロパ衛星やバカでかい木星の方がもっと怖い。これを映画館で観てたらトラウマになるくらい描写が超宇宙的。あまりにも大きすぎると理解が追いつかない。

それはそうと氷が張った地表の下には水がある。水中に熱源が発生し、どうやら酸素もあり、地球の深海と酷似しているらしい。ということは生命体がいるかもしれないぞ!!

はい。それが調査隊がエウロパ衛星に着陸を試みた主な理由。民間企業の民間企業による民間企業惑星探査隊が手を出していいのだろうか?NASAに任せないか??

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シャールト・コプリー

全てがレポート映像なので時系列が少々入り混じっており、カメラ下部にはMOS/DAYS/HRS/MINと表記が出る仕様。

そしてシャールト・コプリーが消える・・・。

物語りが始まって早々シャールト・コプリーについて衝撃発言があるが、まさか過ぎてこちらも記憶が飛ぶ。思わず監督に配役配分をツッコんでしまいそうになるが、気を取り直してダニエル・ウーの活躍に期待をしようと頑張って心を入れ替えた。ヒドラジンには気をつけよう。

私はシャールト・コプリーが大好きだ。

 

もうすぐ現実になるエウロパ衛星内部探査

現在NASAJAXAが探査研究を進めており、それは2024年頃可能になるかもしれない・・・らしい。

もしそれが現実となった暁には、この映画が再度注目され、現実を予知した映画として金曜ロードショーなどでお茶の間を震撼させてほしい。これはワクワクの希望ではなくトラブル満載の巨大生物との遭遇、人類初の地球外生命体が巨大モンスターだった・・・。可能性はゼロではない。そしてそれが高度知的生命体だったとしたら侵略されたエウロパ星人が憤怒して宇宙戦争が勃発するかもしれない。あゝ恐ろしい、恐ろしい。

 

最後に・・・

低予算的な映画だが、宇宙の描写レベルはかなり高い。NASAの資料映像かと思う迫力満載で少しゾッとする宇宙。最後の最後まで姿を現さないモンスターよりも未知の宇宙、真深の闇、木星の映像、エウロパ衛星の不気味な表面の方が精神的にくるものがあった。

地球外生命体、いるかな?

 

総評

★★☆☆☆

 

私の好きなシャールト・コプリーおすすめ作品

 

第9地区 (字幕版)

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  • シャルト・コプリー
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<アントラーズ>デル・トロ風味ファンタジー・ホラー

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映画『アントラーズ』(2021)

デル・トロ監督が製作に関わっているとなれば、いつでも安定したホラー・ファンタジーが楽しめるのは言うまでもない。

今作もそれに違わずねっとりと湿度の高い映像に仕上がっている。オレゴンの森で発見された惨殺死体は下半身が食い破られており、保安官たちは獣の仕業と睨むがその肉片には人間の歯形と思われる跡が発見される。

ANTLERS | Official Trailer [HD] | Searchlight Pictures - YouTube

 

ルーカス

まずこの映画を語る上で特筆せねばならないのが“ルーカス”だ。

ほぼ無表情で、目力のバケモノのような主演の男の子。そしてとんでもないオーラを放ち画面越しをこれでもかと圧倒してくる。陰鬱で悲しげで利口な12歳。森で動物を捕獲し、解体し、何かを世話している。

結構ヤバめな子供をすんなりと演じているので、毎度のことながらキッズたちの精神状態を心配してしまう。弟のエイデンも相当にエグい状況に置かれており、兄弟共に痩せこけて悲しげだ。弟の皮膚はまるで呪いのようになっている。あぁ心配だ、親心が疼く。この子たちは大丈夫なんだろうか・・・。


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映画.comより

 

メドウズ姉弟

こんな生徒がいたらどうにかなってしまうのではと思うが、米国では親が薬物中毒だったり虐待されていたりと、それは日本の比ではないのだろう。この兄弟のお父さんもまさしくクズだ。だが少なからずともまだ子供を愛していたようには思う。だが結果、あのような惨事が起きてしまう。お父さんの過去に一体何が起きたのか?なぜあんなことになってしまったのか。彼らの現実に踏み込んでいったメドウズ姉弟が目にする衝撃の事実たるや、超絶デル・トロ・ファンタジー

先生である姉ジュリアも何やら闇を感じざるを得ない重く苦しい過去があるようだ。そしてマット・デイモン似の保安官の弟ポールは、なんとも言えない…右を向けと言われれば右へ、左を向けと言われれば左を向くような男だ。


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映画.comより

ルーカスはエイデンを生かすのだが、12歳の子供に弟の死を思考するなどあるはずもなく、ただ生かし食を与える。それを絆と呼ぶのか、本能と呼ぶのか。また、愛と呼ぶのか。

兄弟の絆を愛と呼ぶのなら、メドウズ姉弟はどうだろうか?弟とは比ではないトラブルを抱え、一人で耐え生きてきた姉ジュリア。心傷が深く、教え子のルーカスに自分を重ね守ろうとする。だが、全てを理解しているルーカスには家族以上に大切なものは存在しないのだろう。

 

グロ描写は中級

デル・トロ監督が関わっている作品を好んで見ている方であれば、アントラーズの描写などおちゃのこさいさいです。屁のかっぱです。

ただ、とても素晴しい描写であることは間違いがなく、街の雰囲気や寂れた色彩などはスっと世界に入り込んでしまう吸引力がある。クリーチャーは言うまでもなく気持ち悪く、デカくて愛嬌があり流石としか言いようがない。

ただ、グロ免疫システムが備わっていない方には若干心配な描写はあります。製作陣にデル・トロ監督いるんですから仕方のないことだ。みんなで腹を括りましょう。

人体破損、悪霊に取り憑かれた人間、串刺し攻撃などなど、これらはホラー映画には憑きものなので早いとこ免疫システムを稼働させるに越した事はないです。

 

最後に・・・

デルトロデルトロいってますが、監督はスコット・クーパーです。最近で言うとクリスチャン・ベイル主演の「荒野の誓い」や、ジョニー・デップベネディクト・カンバーバッチジョエル・エドガートンの大物俳優を起用した「ブラック・スキャンダル」があります。

とはいえ、本作はもうほぼデル・トロです。

 

少しネタバレ

本作の重要なポイントとなっているのが神話。どことなく日本のシシガミ様を彷彿とさせるが、根底となるのは人間の愚かさや弱さや欲望。ウェンディゴは全てを司る神ではない。現実と神話が噛み合わさることで監督が伝えたかったメッセージが視覚化され、現アメリカが抱える闇と問題点が浮き彫りになってくる。

 

総評

★★☆☆☆

私の好きなデル・トロ関連作品

 

 

 

 

 

クリムゾン・ピーク (字幕版)

クリムゾン・ピーク (字幕版)

  • ミア・ワシコウスカ
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<ボイス―深淵からの囁き―>やっぱりスペイン映画は面白い


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Netflix映画「ボイス―深淵からの囁き―」(2020)

冒頭から良作の匂いをプンプン漂わせる異様な効果音に期待が高まってしまう。全てはスペイン語の響きのせいか、蝿の羽音のせいか。

家屋修繕を生業としている一家。彼らが次に選び引っ越してきた中古の屋敷で、息子のエリックだけが不可解な囁き声を耳にする。

Don’t Listen Official trailer (HD) Movie (2020) - YouTube

 

ホラー映画といえば蝿である。悪霊か悪魔かはたまた得体の知れない存在なのか・・・

この映画も蝿の描写がストレートに表現されている。家の一ヶ所に湧き続ける蝿、〇〇に侵入する蝿、蝿、蝿、蝿。考えたことはないが、蝿は何かの象徴なのだろうか?禍々しい、この世のものではない何かの“器”なのだろうか?

とにかく悪霊系ホラー映画にはよく蝿がでる。

 

トランシーバー

広い屋敷なので様々な場所にトランシーバーが置いてある。息子の部屋やリビング、浴室にもある。用事がある時や何か起きた時に、幼い我が子とすぐ会話ができるのは重宝するが、そこに得体の知れない音が紛れ込んできたらと思うと背筋が凍る。

夜な夜な息子のエリックが誰かと交信している。その声はパパのダニエルだと。

 

不可解な事件

一家に最悪の事件が起こる。まさかの早急すぎる展開に衝撃を受けたが、この映画はスペイン産だったことを思い出した。そうだ、一筋縄ではいかないのがスペインだ。

ひとり家に残った父ダニエルが、屋敷の異変に気がつき心霊現象の真相に迫っていく。

 

「あの世からの声」妻を失った心霊作家ヘルマン

いやいやいや、専門家を呼べよ・・・とは思ったが、このおじいちゃん以外にもタフだ。

娘を助手に連れて、インシディアスに登場する二人組を薄めたような調査を始める。メインは音声収集機とサーモグラフィー。実態がないはずの霊が温度センサーに反応している。一体これはどういうことだろう。

とにかく何かいる。サーモグラフィーが反応している。そして霊体がいる屋敷で単独行動をしつつに寝泊まりもする・・・怖くないのだろうか。

ちゃんと専門家を呼ぼう。

 

悪霊の正体

人々に取り憑き操る系の頑張っても抗えないタイプの悪霊。

結構最悪な部類に入るのではなかろうか?まさしく深淵からの囁きである・・・とは言っても、悪霊に取り憑かれたらだいたい抗えないので、よくあるタイプの悪霊だ。だだその力はかなり強そうで結構メンタルにくる。

果たして悪霊の正体とは。ヒントはスペインと裁判。

 

伏線回収

それなりに回収してくれる。

息子が描いていた気味の悪い予知絵、トランシーバー。途中若干の中弛み感は否めないが、全てはこの家を選んだことで悪夢の連鎖が始まる。

蝿の恐ろしさよ・・・きっとあの人にもこの人にも・・・あゝ衝撃のラストよ。

 

最後に・・・

スペイン映画にはなぜかとっても期待してしまうというほど、スペイン映画には良作が多い気がします。

近年だと「プラットフォーム」が記憶に新しく、個人的には「オール・アバウト・マイ・マザー」や「インビジブル・ゲスト」、「私が生きる肌」などがお気に入りです。どれもこれもクセが強い。

今後も大いに期待したいスペイン映画でした。

 

総評

★★☆☆☆

 

 

 

 

 

 








 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<ELI ーイーライー>まさかの展開!○○○降臨


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Netflixオリジナル映画「ELI」(2019)

ネタバレ注意オカルトホラー

このご時世で完全ネタバレ回避は難しいのかもしれないが、オカルト系が好きであれば極力ネタバレは避けて鑑賞していただきたい。

サイコパスとか人体実験とか心霊現象とか、そんなやわなもんじゃない仕上がりになっている。

『ELI/イーライ』予告編 - Netflix - YouTube

 

なんかおかしい治療施設

体が弱く無菌室で生活し、外出時は防護服を着ないと赤く燃えるように皮膚が爛れるイーライ。

ママとパパは息子の病気を治そうと、人里離れた屋敷へやってくるが・・・。

おかしい、何かおかしい。怪しさてんこ盛りのドクターが施すヤバめの治療。脊髄から肉を取りだし頭蓋骨に穴を開け、何かを注入する…これはやばい。施設には霊が徘徊し、よく分からないメッセージを伝えてくる…こわい。除菌されていない通路に浮かぶ怪しい人影。軟禁状態のイーライに会うため突然やってくる女の子。その全てが謎、謎、謎・・・

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moviewalker.jpより

誰も信じてくれない

幽霊がいたと言っても絶対なんかおかしいと叫んでも、大人は誰もイーライを信じてくれない。幻覚や妄想は全て治療の副作用だと。

見ているこちらでさえも、イーライは本当に幽霊を見ているのだろうか?幻覚なのでは?と、疑心暗鬼になってくる。結構な激しめゴーストアタックなので、どれが本当で何が幻覚なのかわからなくなってくる。幽霊たちよ、大人へ復讐はせんのかいな?とモヤりつつ、彼らはイーライの味方なのだと判明する。安易に想像できるお決まり展開なのだが、それにしても霊たちの激しすぎるアタックはさすがに怖すぎる。

 

若干キレ気味のイーライ

この状況であればキレるのは無理ないが、イーライは感情の起伏が激しい。よくよく見ていくと、それらの理由は多分あることが原因なのかなとわかる。彼の内側から○○○が放たれた時…一体何が起こるのか。

この展開は好きすぎる。たまらない。

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moviewalker.jpより

 

侮るなかれ

ドクターは何者なのか?

ママは何をしたのか?

パパは洗脳されたのか?

女の子の正体は?幽霊の正体は?

イーライの病気とは…??

まさかの展開にオカルト好きなら思わず声が出ちゃうかもしれない。

ラスト20分、本作の本領発揮である。思わずニヤけて前のめりになってしまう力技の宴がはじまる。

 

ゆるゆるC級オカルトホラー

ホラー耐性がなければ少〜し怖いかもしれない。

設定ガバガバだが、ちゃんと最後まで見たらオカルティックC級ホラーのご褒美があります!

あれあれあれれ…なんかおかしいぞ…ん?パパ?ママ?…え…えぇ…ええええーっ!イィーラァアーーイっ!(笑)

 

最後に・・・

コレ系が大好物なので少々評価がバグってますが、良作サスペンスとか戦慄ホラーとかそう言うことじゃないので、まずは深く考えずにサクッと見てサクッと楽しんでいただければと思います。

 

総評

★★☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

<プレデター:ザ・プレイ>

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映画『プレデター:ザ・プレイ』Disney+より

誇り高き戦闘民族:プレデター

何はともあれ最高だった。

プレデターとはなんぞやを意識するのであれば“彼らが地球へやってきた理由“などを理解してからの鑑賞をオススメするが、特に予備知識はなくてもOKです。ドキドキワクワクな戦闘エンターテイメントとしてはナイスチョイスだ。

先住民族プレデターか?どちらを意識するのかでだいぶ見方が変わってくるが、そんな時は2回観ちゃえばいいと思う。

シリーズのファンであれば間違いなくプレデターのアイドル要素を楽しみたいはず。今回も心配無用なチャーミングプレデターをふんだんに楽しめる仕様だ。

プレデター:ザ・プレイ|予告編|Disney+ (ディズニープラス) - YouTube

 

映像美

時は1719年9月。おそらくネイティブアメリカンな民族が暮らすいい感じの時代背景。

映像の作りがなんとなくゲーム“HORIZON”のように感じるが、おそらく顔のメイクや衣装、装飾品、綺麗な背景などがその理由だろう。このような映画は美しく見やすいことが重要でもあるし、綺麗すぎたって全く問題はない。鉄の加工技術あるじゃん!と思ったが、迫害者たちの置き土産である可能性が高い。

とにかく明るくて見やすい。プレデター2とは大違いだ。

 

 


兄かっこいい

推し確定。

特に馬に乗ってからかっこよさが爆増する。惚れる。

しかも・・・あのセリフを・・・。もうニヤニヤが止まらない。どうしよう。

どうやら他の映画には出演していないようだ。ああ残念でならない。

 

女戦士:ナル

どことなくオーブリー・プラザを思わせる、凛としたかっこいい女子。

男子顔負けの腕っ節と薬の知識を兼ね備えたタフガールで、今すぐにでもララ・クロフトやエレン・リプリーたちに仲間入りできる屈強女戦士だ。

気合とガッツでプレデターに挑んでいく。

 

プレデターのガジェット

この作品の目玉でもあるガジェット。とにかくかっこいい(語彙力)

彼らの目的である“狩り”で使用される数々の戦闘道具は、抜群の殺傷力を兼ね備え、且つ、見た目がいい。それらを使うプレデターの動きも抜群にかっこいい。

ガジェットのだいたいがシャキーンとなる。シャキーン!となってスパーン!!だ。最高すぎる。

 

やっぱり楽しいプレデター

過去作オマージュの演出が出るとニヤニヤが止まらず、独り言をぶつぶつ言ってオタク丸出しになれる良作であることは間違いなく、しかも初見でもちゃんと楽しい。なんとなくリュックを背負っているようなプレデター、何度も顔面丸出しにされるプレデター、ふんどしの様なデザインのコスチューム、戦利品を腰紐にぶら下げ満足げのプレデター。嗚呼、愛おしい・・・

贅沢を言うならば、逆さ吊りと顔面いじりは入れて欲しかった。

 

最後に・・・

我らダッチ少佐が率いる森のタンクトップ軍団が大活躍する初期プレデターもぜひ見返したいと思う。

 

総評

★★★☆☆

 

 

 

 

 

 

 

<C‘MON C‘MON ーカモン カモンー>“Simply Better“

カモン カモン[DVD]

カモン カモン(2022)

若者たちの声

私たちが住んでいるこの世界や育った土地のこと、親のこと、未来についてを子供たちに問いかける。

話したくなければ話さなくていいんだよと、ラジオジャーナリストのジョニーは優しい眼差しで子供たちの声をマイクに落とし込んでいく。悩みや疑問を吐き出していく彼らの姿は、屈託がなく真っ直ぐで深く心に突き刺さる。

孤独や不安を伝えつつも、大きな希望を感じるインタビュー。皆、それぞれの幸せを望み、これからの未来を偽りなく見つめている。

そんな彼らの言葉を聞き、“声”を永遠にしていく。

映画『カモン カモン』本予告(100秒)|4月22日(金)全国公開 - YouTube

 

ホアキン・フェニックスという叔父さん

羨ましい。あんな叔父さんが羨ましい。

久しぶりに甥っ子にと会った時のあの笑顔、入ってもいいかい?とお互い囁くように笑う。とても優しい叔父さん。

初めての子育てに思いきり振り回され、“大人はきっとこうあるべき“を模範していくが上手くいくわけはなく、ヘトヘトに疲れ果ててベッドに倒れ込む。それでも懸命に甥っ子と話し、心で対話し、優しい笑顔で温もりを届けてくれる。

今作のホアキン・フェニックスも本当に素敵だった。

彼の過去作はどの作品も素晴らしいが、まだ知らない一番優しいホアキン・フェニックスがここにいるのかもしれない。

 

9歳の男の子の世界

奇妙なことに興味があり、賢くて少し変わっている。食事中に菌類による木のネットワークについて一生懸命おしゃべりする。

とてつもなく可愛い。

目の前にいる伯父さんに好奇心を湧き上がらせ、突然プイッと機嫌が悪くなり困らせる。そして、親がいない子の空想遊びが大好き。だが、そのひとつをとっても、時折、ジェシーの心の奥深くにある混乱や寂しさが垣間見えてくる。

ママへの想い、パパの心配事、面倒を見てくれる伯父さん。よくわからない事だって多いし理解できないこともある。

 

大人の私たちはいろいろ知りすぎて、優しくありたいと利己的で大事なことは手からこぼれ落ちているのかもしれない。

聞くこと、認めること、受け入れること。一緒に成長していくこと。

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映画『カモンカモン』公式より

拡大

世の中の音を丁寧に拡大して収録する。ローラースケートの音や波の音、カモメの声、木々の葉の揺れる音。それらの秘密をこっそり聞かせてもらっているように、ジェシーが伯父さんの大きな機材を首から下げ、笑って歩いていく。

インタビューマイクを通した子供たちの声は、彼らの拡大された細部へ入っていくように聞こえ、反対に彼らの素直な不安と強さに飲み込まれる感覚にもなる。その言葉はどれもとても美しい。

 

“Simply Better“

トラックの文字が鮮烈に目に入ってきた。

映画を見ながらずっと、この文字の意味を考えていた。不安定な家庭環境、心が混乱していること、大好きなのにあなたが側にいないこと、友達が少ないこと。どれも複雑な事のようで、心をマイクに落とし込み拡大してみれば、この人生はとてもシンプルだということが見えてくるかもしれない。

大人になると忘れていくこと。何を覚えていて、君は何を忘れるのか。

“Simply Better“

 

最後に・・・

この映画は感想をまとめるのが凄く難しくもあり、しかし、一生懸命に考えて思い出しながら書いている時間はとても幸せでした。二人が一緒に過ごした時間は人生のほんの一瞬かもしれないけれど、かけがえのない宝物だと思う。小さくてもひとり人間で、大人もまた不完全なひとりの人間。

素敵な映画をありがとう。

 

総評

★★★★☆